各社ともまだ“屠蘇気分”が抜けきらない1月8日、公正取引委員会はカタログ通販などを手がける5社に対し排除命令を出した。いずれも中国生産のウォレットや財布を、10年前に閉店した銀座の老舗「エンゼル」が特別に製造した国内製品と偽って販売していたもの。「今はない名店がごく限られた得意先だけに向けて製造している」というコピーで商品を説明していたが、実際にはそのような事実はなく商品も「エンゼル」が製造したものではなかった。
排除命令を受けたのは全日空商事やジエ・エー・エフ・サービス、ジェイアール東日本商事など運輸系企業と、クレジットカード系のエスシー・カードビジネスといった会員向けカタログを発行する企業、さらに新聞広告で通販を行うウイングツーワンの計5社。ウイングツーワンを除き、他4社は日本通信販売協会(JADMA)の正会員だった。
5社に商品供給したのは同じベンダーで、商品コピーなどもほぼ共通。このベンダーは既に業務が破綻しているという。雑貨商品ではここ2年ほどの間に通販企業複数社が排除命令を受ける案件が目立っており、元をたどると共通のベンダーから仕入れた商品だったというケースがほとんど。虚偽の説明書を付けて商品を卸すこれらベンダーが悪質なのは言うまでもないが、その説明を鵜呑みにして消費者に販売してしまう通販企業の体質にも大きな問題がある。
さらに5社の排除命令からわずか5日後の14日、今度はテレビ通販専門チャンネルのQVCジャパンにやはり排除命令が出された。同社は2007年6月にも「カビがつかない洗面器」で排除命令を受けており、今回が2回目となる。
ただ、前回の洗面器は“効能効果”をうたった商品であり、常識的にも不当表示に価する内容であったが、今回対象となったのはスプーンとフォークのセット。「木製」「漆塗り」という表示が不当で、実際は樹脂の材料や塗料を使っていたとされる。確かに不当表示ではあるが、消費者に著しい誤認や身体的被害を与えるようなケースとは一線を画すといえよう。
5社が排除命令を受けたウォレットも同様で、不当表示には該当するものの商品そのものの“誤認・被害”という位置づけから言えば、果たして景品表示法違反で最も重い「排除命令」を科すほどのものかどうかは疑問が残る。QVCジャパンを含め各社ともすでに商品の回収・返金を手がけていることもあり、「排除命令」よりも軽い「警告」や「注意」にとどめておいても構わなかったのではないかとも考えられる。
もともとベンダーと販売者というBtoB取引はある程度信頼関係が基盤となっている。「警告」「注意」レベルでもそのような商品を卸したベンダーは淘汰されるはずであり、「排除命令」を科してまで販売会社を追い込む必要があるのかどうか。むしろこれだけ「排除命令」が連発されると、逆に法の重みが軽んじられてしまう懸念も否定できない。
もう一つの問題は、同じような商品を扱いながら違反対象になった企業と免れた企業との線引きだ。ウォレットについては排除命令を受けた5社だけではなく、他にもカタログ通販大手や新聞社系通販などの企業も扱っていたと聞く。過去にも他の案件で明暗が分かれたケースがあったが、この点については公取委は各社が納得するような説明を行うべきではないか。